岡山県は全国的に見ても比較的ゆとりのある敷地を確保しやすく、平屋や2階建てが多いエリアです。
しかし、「岡山市北区(岡山駅周辺)の便利な場所に住みたい」「人気の学区(京山・津島・伊島など)で土地を探している」という場合、坪単価が50万円〜60万円を超えるケースも珍しくありません。
そこで選択肢に入るのが、限られた土地を有効活用する「3階建て」です。
ここでは、岡山で3階建てを建てるべきエリアの特徴や、意外と知られていない「水害対策」としてのメリット、そして必ず知っておくべきコストの注意点について解説します。
単に「部屋数が増える」だけではありません。岡山特有の事情に合わせたメリットがあります。
地価が高いエリアで、広い土地(45坪〜50坪)を買って庭付きの2階建てを建てようとすると、土地代だけで予算オーバーになりがちです。
しかし、3階建てなら縦に空間を使うことで、必要な土地面積を減らすことができます。
【比較イメージ】延床面積35坪+駐車場2台を確保する場合
※上記は一例です。実際に建てられる広さは、その土地の「建ぺい率(土地に対して建物を建てられる割合)」や「容積率」によって法的に決まります。土地購入前に必ず工務店へ確認しましょう。
2018年の西日本豪雨以降、岡山県民の防災意識は大きく変わりました。
もちろん、浸水リスクがある場合は「早めの立ち退き避難(避難所への移動)」が原則です。
しかし、夜間の急な増水などで移動がかえって危険な場合など、万が一の事態において3階建ては「在宅避難」の選択肢を広げます。
2階・3階に主な生活スペース(リビングや寝室)を作ることで、浸水時でも家の中で一時的に身を守る「垂直避難」が可能になります。
「高い建物は揺れやすいのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、3階建ての木造住宅は、建築基準法で「構造計算(許容応力度計算など)」が義務付けられています。
一般的な2階建て(4号特例)では簡易的な確認で済まされることもある構造の安全性を、3階建てでは綿密に計算しなければなりません。その結果、耐震等級などが明確になり、「科学的に強度が証明された家」になります。
もちろん、良いことばかりではありません。3階建てならではのコストや生活の課題もあります。
2階建てと同じ延床面積でも、3階建ての方が建築費(坪単価)は高くなる傾向があります。主な要因は以下の通りです。
「土地代が安くなった分」と「建築費の増額分」をトータルで計算し、本当にお得になるかをシミュレーションすることが大切です。
若いうちは気になりませんが、高齢になると3階までの移動は負担になります。
対策として、将来的に「ホームエレベーター」を設置できるスペース(現在は収納として使っておくなど)を確保しておくか、主要な生活空間をワンフロアに集約できる間取りにしておくことが重要です。
3階建てあるあるですが、1階にルーターを置くと3階まで電波が届きにくくなります。
設計段階で各階に「LAN配線」を通しておくか、メッシュWi-Fiの導入を前提としたコンセント配置を計画しましょう。
3階建ての建築には、高度な構造計算や、高さ制限(北側斜線制限など)をクリアする設計力が求められます。
「普段は平屋ばかり建てている」という工務店に依頼すると、ノウハウ不足で割高になったり、耐震バランスが悪くなったりするリスクがあります。
岡山市内の狭小地での施工実績が豊富な工務店を選び、実際の施工事例(完成見学会など)を見せてもらうことが成功への第一歩です。
引⽤元:アイム・コラボレーション(https://im-c.jp/)
引⽤元:SPECIALABO(https://specialabo.co.jp/)
引⽤元:SANKO(https://www.sankohousing.co.jp/
UA値とは、家の断熱性能を表す数字です。値が低いほど、家の中の熱が外に逃げにくくなります。つまり、冬は暖かく、夏は涼しい家になります。
C値とは、家の隙間の少なさを表す数字です。値が低いほど、家の中に隙間が少なく、外から風が入りにくくなります。つまり、冷暖房が効きやすくて、快適な家になります。
Ua値やC値が0.1違う場合、年間の冷暖房費に約3~5%程度の差が生じると言われています。数値が0.1高い場合、年間の冷暖房費が15万円の家庭では、約4,500円~7,500円の追加費用が発生し、室温については1~2度程度の差が生じると言われています。
また、地域の特性上高い住宅性能が求められる北海道では、UA値0.46が基準(省エネ基準)とされており、この数値より低い場合は、東北地方や北海道などの寒冷地にも適合できるほどの住宅性能を持っているといえるでしょう。
参考:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/shoene-label/insulation.html)
【選定基準】
「岡山 注文住宅」とGoogle検索し、表示された上位50サイトの中で注文住宅会社は31件でした。(2024年4月調査時点)
31社から、上物価格を「1000万円台の家」「2000万円台の家」「3000万円台の家」で分け、住宅性能(耐震性能3等級以上、Ua値、C値)を明記している中で価格帯別に最も坪単価が安い注文住宅メーカーを選出しました。アイム・コラボレーションの坪単価は「SUUMO」(https://suumo.jp/chumon/tn_okayama/rn_imc/?ichiranIdx=3)、SANKOの坪単価はステップハウス(https://www.stephouse.jp/company/view/172/profile/)の情報を参考にしています。
【参考上物価格】
岡山県の平均一戸建ての広さが約36坪。(参照元:株式会社ヘルシーホーム https://www.healthy-home.co.jp/column/251/ ※情報は2018年10月時点)。これに各社の坪単価をかけて参考上物価格を算出しました。